少し前に日本語のWEBか雑誌を読んでいて、「ドイツのことわざに『トマトが赤くなると医者が青くなる』と言うくらい、トマトは健康によい食べ物なんですよ」というコメントが載っていた。私はずぅっと、「リンゴが赤くなると医者が青くなる」と思っていたので、「あれ~っ、これってトマトだったの?」と思ってGoogleで検索してみると、「トマト」を使っている例のほうがヒット数が多い。もちろん、ヒット数だけだとどちらが正しいかはわからないけれど。

アメリカ人で詳しそうな友人に聞いてみた。答えは、An apple a day keeps the doctor awayって諺はあるけど、ドイツの諺は聞いたことがないとのこと。大体、トマトはもともと新大陸から来た食べ物だから、ヨーロッパの諺にあるのは変なのではないかと。WEBをドイツ語で検索してもらってもヒットしない。私も、ドイツの諺ならトマトじゃなくってリンゴだと思うのだけれど。

で、たまたま、ドイツ人二人とイギリス人一人がそばにいたので聞いてみた。しばし沈黙した後、二人は聞いたことがないとギブアップ、「彼はこういうのに詳しいんだ」といわれたもう一人はオンラインで検索してくれたけれど、やっぱり該当する諺はなし。もしかしたら、(正統派のドイツ語圏(ハイジャーマンっていう奴?))ではなくって、バーバリアン地方の諺かもしれなけれど、聞いたことがない。というのが3人が出した結論。

この後、日本語の助詞とドイツ語の定冠詞と英語の定冠詞の話になって、みんな、自国語について聞かれると説明できないんだけれど、たとえば、ドイツ人が英語の定冠詞がどうなっているかって頭で考えると、そういえばドイツ語も実はそうだったって思い当たることがあるなんて話になった。これって、日本人は絶対に不利。

で、私が、ね、そういえば、さっきの諺、(私はいまだに、定冠詞をつける言い方と複数形を使う言い方の微妙なニュアンスの違いがよくわからないことが多いのです)、どうして「KEEP DOCTORS AWAY じゃなくってKEEP THE DOCTOR AWAY」ってTHE DOCTOR」なの?と聞いて見た。アメリカ人Aの答えは、「医者というものは」「犬というものは」みたいな言い方に複数形を使うようになったのは最近の用法で、数百年前の英語だと定冠詞を使うことが多かったからその影響じゃないかな」とのこと。アメリカ人Bの答えは、「昔は医者なんて村に一人しかいなかったから、THE DOCTORが一般的だったんだよ。きっと」とのこと。唯一の物を指す場合につくTHE ねえ、これって苦手なんだよな、私。だいたい、次に話す言葉を思い浮かべててA とかANOTHER とか口にしちゃったあとでふと気が変わって次に複数名詞持ってくるなんてこと、英語圏の人たちはやらないのかしらん。あ、リンゴとトマトの話だったんだっけ。